『マリアさまはとらいあんぐる 〜2nd〜』



最終話 「新たな日々」






駅前で恭也と美由希を降ろした美沙斗の元に弓華がやって来る。

「お疲れ様です」

「ああ、弓華もお疲れ」

「弓華さん、今回はありがとうございます」

「いいよ、いいよ。大したことは出来なかったからね。
 それに、邃も殲滅できた事だしね。でも、これで隊長が益々、恭也くんを欲しがるね」

そう言って笑う弓華に恭也は苦笑で返すと、弓華がここにいる理由をい尋ねる。

「ああ、それはね、香港へと戻る前に恭也くんに渡すものというか、お願いがあってです」

そう言って弓華が手招きするように腕を振ると、向こうから二つの影が近づいてくる。
その二つの影を見て驚いたような顔をする恭也と美由希に、弓華はどこか楽しげな雰囲気を身に纏わせると、

「今更紹介する必要はないと思うけれど、一応、紹介しておくね。
 こちら、保護観察処分が決まったリノア・マーライトと天羽悠花さんです」

弓華から紹介を受けたリノアと悠花はややぎこちないながらも笑みを見せ、頭を軽く下げる。
対する恭也と美由希は同じように頭を下げると、次いで弓華へと問い掛けるような眼差しを向ける。
それを受けて弓華は、隠そうともせず楽しそうな声で話す。

「実は、保護観察になったはいいけれど、誰がそれに当たるかっていうのが問題になったのよね」

その弓華の言葉に続けるように、こちらは知っていたのか驚いた様子も見せずに美沙斗が説明する。

「保護観察処分には、その人物を押さえておけるぐらいの者じゃないと駄目だろう。
 仮に、何かあった時のためにもね。
 となると、ツインエッジや血塗れの魔女を抑えておけるほどの人物で、
 尚且つ、悠花さんたちや私たちが信用出来る者じゃないといけない」

「そんな人物がほいほいと居たら苦労はしないね、普通は」

「だけれど、今回ばかりはそう苦労せずとも見付かったんだよ」

言って二人、いや、悠花とリノアも含めた四人の視線が恭也へと向かう。
何の冗談かと辺りを見渡す恭也へ、美沙斗の口から最後通達が発せられる。

「つまり、双翼の剣士以外に思い浮かばなかったという訳だ。
 まあ、そういう事だから、頼むよ恭也」

美沙斗の言葉に恭也はやっぱりという顔を見せるが、すぐに反論する。

「でも、まずいですよ。悠花さんやリノアも俺と一つ屋根の下を言うのは嫌でしょう」

「いえ、私は別に」

「私も構わないよ。本来受けるはずの処罰から考えれば、大した問題じゃない」

「しかし…」

尚も何か言いたそうにする恭也を、悠花が捨てられた子犬のような瞳で見上げる。

「それとも、恭也さんはお嫌なんですか?」

「そ、そうじゃなくてですね。そ、それにかーさんにも何て言ったら」

「桃子さんが断ると思うのかい、恭也」

「……それはあり得ませんね」

最後の反論に対し、それさえもあっさりと崩された恭也は、ただ肩を落すしか出来ない。
そんな恭也をじっと見詰めてくる二組の視線に、恭也は仕方がないと肩を竦める、

「分かりました。その件、引き受けます。
 それじゃあ、悠花さんもリノアも行きましょう」

恭也の返答にほっと胸を撫で下ろす二人を、複雑な顔で見遣る美由希の耳元に唇をそっと近づけ、
美沙斗は他の者には聞こえないように小声で囁く。

「美由希もうかうかしていると、恭也を取られるよ」

「っ! ちょ、母さん、何を」

「ふふふ。さて、何だろうね。それじゃあ、私たちはフライトの時間があるから、ここで」

言って車へと戻る美沙斗を、美由希は真っ赤になった顔で見送る。
そんな妹の様子に一人首を傾げる恭也以外の三人へと、弓華が車へと乗り込みながら声を掛ける。

「それじゃあ、皆、頑張ってくださいね」

その楽しそうな言葉の意味をちゃんと理解できたのか、三人は思わず顔を見合わせるのだった。



あの後、海鳴へと戻った恭也と美由希が桃子へと簡単な説明をした所、
あっさりと悠花とリノアが高町家へと迎え入れられる事となった。
一段落した所で、こちらの病院へと移ったリスティの見舞いへと行けば、
フィリスに捕まって本当に怪我をしていないか調べられたりと色々あったが、日々は何事もなく過ぎて行く。



そして、それから少しの時が流れ……。



恭也の姿は今、ここにあった。



1.八束神社
2.海鳴大学
3.東京某所
4.八束神社裏林
5.高町家道場
6.高町家縁側
7.海鳴商店街






<あとがき>

という事で、前作に続き選択肢。
美姫 「またしても複数エンド?」
まあまあ。要望が多かったから。
本来のエンドも選択肢にいれたから、どれがそれかは分からないだろう?
美姫 「あら、私は分かるわよ」
いや、まあ、お前は分かるだろうけど。
ともあれ、これにてマリとら2ndは完結です。
美姫 「後は外伝が一本ね」
まあ、こっちは焦らずにのんびりとやるさ。
美姫 「そんな事、私が許すとでも?」
あ、あはははは〜。
と、とりあえず、これにて完!
美姫 「それじゃ〜ね〜」







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