『An unexpected excuse』

     〜リンディ編〜






「俺が好きなのは……と、その前に。
 これから先はかなり好都合な設定でいく事になるらしい」

「そうそう。だから、それはなしだよーとか言う人はここまでにしておいた方が良いかもね」

「具体的に言うとだな、3とリリカルの間がほとんどあいておらず、しかも両方とも今年に起こった、といった所だな」

「そうそう。春に私たちと恭ちゃんのお話があって、その後の夏にリリカルの事件があったって事だよ」

「ちなみに今回の話は冬という事だ」

「つまり、こっちのリリカルから約半年って事だね」

「そうだ。後、リリカルの事件は基本的になのはが解決したが、俺にもリンディさんの姿は見えて一緒に手伝ったんだ。
 それと、リンディさんの事を知っているのは俺となのは、久遠だけという事だそうだ。
 まあ、そこまで変更するのか、といった人には確か」

「そうそう。もう一つのバージョンが用意してあるみたいだよ。こっちは時間軸とかは元のままだから、そっちを読んでね」

「当然、両方呼んでくれても良いんだがな。で、美由希、もう一つの話へはどこから行くんだ?」

「それは、ここからだよ」(*****LINK)

「ふむ、なるほどな」

「あのー、恭也さんに美由希さん、一体なにを言ってるんですか?」

「二人してとうとう本格的にやばくなったの?」

「何気に酷い言いようだな忍」

「ははは、冗談よ、冗談」

「それよりも師匠、そろそろ……」

「そうですお師匠。そろそろ本編に戻った方がよろしいかと」

「そうだな。では、本編に戻るか」

「そうだね」









「俺が好きなのは……、リンディさんだ」

『……………………』

無反応。
FC会員たちは恭也に意中の人がいた事を知り、ショックで言葉を無くし、
美由希たちは自分達の知らない名前が出てきたことで、どう反応して良いのか分からない。
そんな全員の反応に恭也はただ不審に思い、手近にいた美由希へと声をかける。

「美由希、どうしたんだ?」

「え、あ、な、何でもないよ」

「何でもないような気はしないんだが、まあいい。
 さて、質問にも答えたんだしもういいだろ。そろそろ戻ったらどうだ?」

恭也の言葉にFC会員たちは大人しく校舎へと入って行く。
それを見届けた後、美由希たちが詰め寄ってくる。

「恭ちゃん、リンディさんって誰?」

「一体、いつ知り合ったんですか?」

「どんな人なの?」

「名前からして、海外の方ですか?」

「今は何処にいるんですか?」

『で、その人と付き合ってるの?!』

矢継ぎ早の質問の後、声を揃えて聞いてくる。
恭也は少し身を引きながら、口を開く。

「何をそんなに怒っているんだ?」

『別に怒ってなんかないよ。で?』

「で?、とは」

『だから付き合ってるの?』

「あー、一応そうなるのかな」

『一応?』

先程から息を揃え、同時に話す美由希たちに少し感心しながらも恭也は答える。

「い、いや。今は事情があって自分の国に帰っているんでな。
 帰ってくるまで待ってるつもりだ」

その台詞を聞いた途端、美由希たちは顔を見合わせゆっくりと笑うと恭也から少し離れた所へと移動する。

(な、何か知らんが今の笑みと動きは少し怖いぞ)

そんな恭也の胸中を知ってか知らずか、美由希たちはこそこそと話し始める。

「自分の国に帰っているって事は、今は恭ちゃんの近くにいないって事だよね」

「事情言うんが何なんかは知らへんけど、すぐには戻って来れないとみて良さそうですな」

「だったら、その間に…………」

忍の言葉に全員が頷き、それを確認した忍が更に言葉を続ける。

「とりあえず、敵の事をよく知らないといけないわね」

再び頷くと、美由希たちは恭也の元へと戻る。

「恭ちゃん、そのリンディさんってどんな人なの?」

「どんなと言われてもな」

「なんでも良いですから、教えて下さい。例えば、どんな外見をしてるとか」

「そうだな……とても綺麗な人だな」

『むっ』

美由希たちが突然不機嫌になった事を不思議に思いながらも恭也は続ける。

「後は、とても優しい人だな」

更に不機嫌になっていく美由希たち。
それを気にせず恭也は続ける。

「それに…………」

『それに?』

「い、いや。まあ、そんな感じの人だ」

急速に増した美由希たちの不機嫌さに恭也は言葉を止める。

(い、一体、どうしたんだ)

「師匠、リンディさんには今、会えないんですよね」

「ああ。国に帰っているからな」

「寂しくないですか?」

「まあ少しは……」

『じゃあ、私が慰めてあげる!』

「何を言ってるんだ?お前たちは」

突然、訳の分からない事を言い出す美由希たちに当然の疑問をぶつける。
が、美由希たちは気にせず続ける。

『良いから……って、皆邪魔しないで!』

今度は美由希たちはお互いを睨み合う。
目の前で無言のまま火花を散らす美由希たちに恭也は少し恐怖を感じ、思わず後退る。

(一体、何が始まるんだ。いや、始まるのは構わないが、俺を巻き込まないでくれ)

半ば祈るようにしながらその場からゆっくりと離れて行く。
理由はよく分からないが、本能がこの場から少しでも早く離れるように告げる。
その本能に従い、美由希たちに気付かれないように移動していく。
美由希たちにばかり気を向けていたため、背後から近づいてきた気配を感じる事ができず、
気がついた時には背後から抱きつかれていた。

「恭也さ〜ん」

「な、え、あ、リンディさん」

「はい。会いたかったですよ」

「俺もです。でも、どうしてこちらへ?」

「一応、色々と一段落着いたので顔を見に来たんです。迷惑でしたか?」

「いえ、そんな事はありませんよ。でもよくここが分かりましたね」

「それは、直接恭也さんの所に出現するようにしましたから。本当はあまり良くないんですけどね。
 少しでも早く会いたかったから」

そう言って舌を出して少し笑う。
そんな二人を美由希たちが茫然としながら見る。

「恭ちゃん、そちらの方は……」

「ああ、こちらがリンディさんだ」

『……………………』

「どうしたんだ?」

「べ、別に何でもないよ」

慌ててそう言う美由希に全員が頷く。
流石に本人のいる前では先程のような事をする気はないようだ。

「で、リンディさんは知っていると思うけど……」

「あ、はい。一応、初めましてですね」

『一応……?』

リンディの可笑しな言い方を不思議に思いながらもとりあえず挨拶を交わす。

「そういえば、クロノは?一緒に来てないのか」

「クロノは真っ先になのはちゃんの所に行きましたよ」

恭也の言葉に笑みを浮かべて答える。
二人の口から出た知った名前に美由希たちは反応する。

「クロノくんって、あのクロノくんよね」

「あのというのがどれなのか分からんが、多分そうだ」

「え、クロノくんとリンディさんって同じ国なんですか?」

「ああ、そうだが」

「ああ、そうでした。そう言えば、まだお礼を言ってませんでしたね。
 息子がこちらで、大変お世話になったようで」

『えぇーーーーーーーー!!息子っ!!!!』

「お前たち、五月蝿いぞ」

「で、で、でも」

口をパクパクさせながら言葉の出てこない美由希に代わって晶が尋ねる。

「って事は、リンディさんはクロノくんの母親って事ですか?」

「はい、そうですけど」

「恭也さんが年上好きだったなんて」

「何を言ってるんですか、那美さん」

あらゆる意味でショックを受けている美由希たちをその場に置いて、恭也はリンディと話をする事にする。

「で、どれぐらいこちらにいれるんですか?」

「そうですね、1週間ぐらいですかね。でも、その後すぐに、またこっちに戻って来れますから」

「そうなんですか」

「はい。で、とりあえず1週間程お世話になっても良いですか?」

「構いませんよ。母も賑やかな方が喜ぶでしょうし、クロノが一緒ならなのはも喜びます」

「あ、あのー……」

「はい?」

リンディは顔を赤くしながら、両手の人差し指を胸の前でツンツンと合わせ、下から恭也の顔を覗き込み口を開く。

「恭也さんは喜んでくれないんですか?」

「も、もちろん嬉しいですよ」

そう言って微笑む恭也に更に顔を赤くする。

「そう言ってもらえてとても嬉しいです」

小さくそう呟くリンディを見て、素直に可愛いと思った恭也の身体は自然と動き、リンディを抱きしめる。

「あっ」

小さく驚きの声を洩らすが、すぐに身を任せされるがままになる。
しばらくお互いの体温を感じた後、恭也はリンディの髪を撫でていた手を頬へと移しそっと撫でる。
恭也のその手にリンディも自分の手をそっと当てる目を細める。
やがて、ゆっくりとお互いの距離が近づいていきそっとキスをする。
唇をはなし、リンディの頬を軽く一撫ですると手を放す。
離れて行く恭也の手を名残惜しそうに見るリンディの瞳は熱く潤んでおり、それを見た恭也は思わず我を忘れそうになる。

(いかん、何を考えているんだ俺は。…………って、ここは学校じゃないか。しかも、すぐ近くに美由希たちもいるっていうのに。
 …………!美由希たちがいる?!)

今までその存在をすっかり忘れていた美由希たちを思い出し、恭也は慌てて横を見る。
が、運良くというか、美由希たちはショックで固まったままでこちらに気付いていなかった。
ほっと胸を撫で下ろす恭也にリンディがそっと囁く。

「あ、あの……続きは今夜にでも………………」

自分で言った言葉に恥ずかしくなり俯くリンディを見て、恭也も顔を赤くし、何事かを考え始める。

「じゃあ今からどこか行きましょうか」

「え、でも…………」

「授業なら大丈夫ですよ」

そう言って恭也はリンディの手を取り引っ張っていく。
と、同時にまだ固まっている忍の方を向く。

「忍、後は頼んだ」

それだけを告げるとリンディと手を取り合い外へと出て行く。
その顔はどちらも幸せそうだった。





おわり




<あとがき>

と、言う訳で……。
美姫 「どういう訳よ」
そんな突っ込みはやめて下さい。お願いします。
美姫 「仕方がないわね。まあ、という訳で、雪霽白夜さんの90,000Hitリクエストでリンディ編でした」
うおー、パチパチパチ。
雪霽白夜さんリクエストありがとう!
美姫 「しかし、次は100,000Hitなのね〜」
うん。これも全て皆さんのおかげです。ありがとうございます。
美姫 「これからもお願いしますね」
では、今回はこの辺で。
美姫 「バイバーイ♪」




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