『Moon Heart』
11/休息
恭也とアルクェイドはネロによるホテルでの襲撃から何とか逃れると、そのままアルクェイドのマンションへと戻って来た。
そして、疲れていた事もあり、二人はそのまま眠りについた。
明けて翌日、恭也はいつもより遅く目を覚ますと、横で未だに寝ているアルクェイドの姿にしばし我を忘れ見惚れる。
が、すぐに我に変えると軽く頭を振り、アルクェイドから目を逸らす。
と、ふいに昨日の出来事が脳裏に浮かび、
(あのネロという奴……。あいつだけは許せない)
怒りで拳を強く握り締める。
しばらくそうしていたが、やがてゆっくりと拳から力を抜く。
(こんな時こそ冷静にならないとな)
一度深呼吸をし、恭也は何かを思いついたのか顔を上げる。
「とりあえず、朝食にするか」
恭也はそう呟くと台所へと入り、冷蔵庫の中を見る。
「ふむ。勝手に使わせてもらうか」
そう呟くと恭也は冷蔵庫の中から幾つかの食材を取り出し調理していく。
やがて一通りの準備も終わり、テーブルに出来た料理を並べていると、ベッドからアルクェイドが起き出して来る。
「う〜ん、何かいい匂いがする〜」
寝惚け眼でアルクェイドはテーブルを見る。
そこに並んだ料理を見て、次いで恭也の顔を見ると、目を大きく開ける。
「これ、まさか恭也が?」
「ああ、そうだが。そこまで驚かなくても良いだろ。これぐらいの簡単なものなら誰で……いや、俺でも作れる」
誰でもと言おうとして、自分の妹が頭に浮かんだ恭也は言い直す。
「目が覚めたんなら丁度良い。アルクの分も作ったからな。食べるだろ。と言うか、材料は元々アルクが買って来たもんだしな」
「食べる食べる♪」
アルクェイドは嬉しそうに笑みを浮かべながら恭也の対面に座ると、手を合わせる。
「いただきま〜す♪」
「いただきます」
それに倣うように恭也もそう言うと、早速食べ始める。
二人は暫く無言で食べる事に集中する。
「ふぅ〜、ごちそうさま。美味しかったわ」
「そうか。そこまで喜んで貰えると俺も嬉しい」
やがて、全て食べ終えた二人は食後のお茶を飲み始める。
そこで恭也は真剣な顔つきでアルクェイドへと話し掛ける。
「アルク……。昨晩のネロの事なんだが……」
「うん?」
「アルクはどうするつもりなんだ?」
「う〜ん、確かに厄介と言えば厄介なのよね。かと言ってこちらから手を出す気もないし」
「あいつを倒す方法はないのか?」
「昨日も話したけど、それは無理よ。あいつの僕は倒してもあいつの体内に戻るだけだし」
「じゃあ、あいつを放っておいたまま、アルクの目的である奴を探すのか」
「そうなのよね〜。それが問題なのよね。まあ、とりあえずはあいつに会わないようにするのが一番ね」
「それしかないのか……」
「ええ、それが一番よ。だから、夜まではゆっくりと身体を休めといた方が良いわよ。
ネロに見つからないようにあいつを探さないといけないんだから」
あいつと言った所でアルクェイドの声が微かに熱を持ったように聞こえた恭也はアルクェイドの方を見るが、
その頃にはいつものアルクェイドに戻っており、気のせいかと思い直す。
「そういう訳だから、私はまた眠るわ。恭也もネロに顔を見られているんだから、出歩かずに大人しくしていた方が良いわよ」
「………分かった」
言うだけ言うとアルクェイドは再びベッドへと潜り込む。
恭也は難しい顔をしていたが、目を瞑り身体をそのまま横にする。
そして恭也は深い夢の世界へと旅立っていった。
<to be continued.>
<あとがき>
そういう訳で久々のMoonHeartだな。
美姫 「みじかっ!何よこれ」
こ、これにはり、理由が……。
美姫 「何よ理由って」
そ、それは次回まで待って。
次回に関係するから。
美姫 「つまり、次回の話と今回の話を区切りたかったって事?」
そういう事です。
美姫 「……………じゃあ、次回はいつ?」
それは分かりませんが、出来る限り早くしますので。
美姫 「…………仕方がないわね」
ほっ。
美姫 「って、言うと思ったの。この馬鹿、馬鹿、ばか〜〜〜〜〜〜〜!」
にょぎょむぐえぇぇぇぇぇ〜〜。ゴガッ、ガハッ。う……うううぅぅぅぅ。
美姫 「ふぅ〜お仕置き完了。じゃあね♪」